静岡きんつば・取材2

こんにちは、きんつば担当者です。
今回もとあるきんつば屋さんの取材報告です。
なお、先方のご希望によりお店の詳細は伏せさせて頂きます。


今回の取材先は、元・駄菓子屋の、現・静岡きんつばと静岡おでんの専門店です。
静岡おでんはご存じの方も多いと思いますが、軽く。静岡の駄菓子屋で売られている黒いつゆに浸かったおでんで、「だし粉」という調味料をかけて頂きます。ちなみに私はこちらで初静岡おでんを食べました。美味しかったです。
それでは、なぜこの駄菓子屋は静岡きんつばの提供も始めたのでしょうか。生き字引とも呼ばれる二代目のおばあさんにお話を伺いました。
このお店は海の近くにあるのですが、戦後、港にある漁業会社で働く弟子の子どもたちを中心に多くの労働者がお店の前を通ったそうです。当時は車の通れる道路が少なく、この辺りには3本あり、そのうちの1本がこのお店の前の通りだったからだそうです。
疲れた人々はお腹にたまるものを求め、当時売っていた「べったら焼き」によもぎを入れることやあんこを包むことを一代目に提案したそうです。「べったら焼き」とは、小麦粉を水で溶いたものを鉄板で焼くだけのシンプルな食べ物です。このお店は餡を包むため、生地の水分を減らし固くしたそうです。このように、お客さんの提案により、お店で「静岡きんつば」の提供が始まりました。
では、なぜ「きんつば」として売り出したのでしょうか。・・・それは謎です。おばあさんのお話に、静岡きんつばを売り始めて暫く、知り合いの和菓子屋さんのご主人がいらしゃって「なぜきんつばというのか」を一代目に話していったというものがあります。このことから、どうやら別の場所にも同様のきんつばがあったのではないかと言うことです。
「静岡きんつば」の起源はどこにあるのでしょうか。


きんつば2 全体
気を取り直して、前回同様、こちらの静岡きんつばを見ていきたいと思います。

材料は小麦粉、小豆、砂糖、塩、油、よもぎ。
丸く、しっかりとした焼き生地です。くっきりと見える3本線の模様は刀の鍔を表しています。
こちらはとろみのある甘い餡が特徴的です。北海道産の小豆と、砂糖に三温糖とザラメを使用し、おばあさんが毎朝5時間ほどかけて薪で炊くこだわりの一品です。
また、香り高い県産のよもぎを使用しています。重曹と茹でてあくを取り、そのまま冷凍したものをミキサーにかけてきんつば2 半分使用するそうです。昔は灰と茹でてあくを取り、ござに敷いて乾かしたものを臼でひいて粉にしたそうです。
手間を惜しまず、素材にこだわった静岡きんつばで、多くの人に愛されています。
作り方は小麦粉と水、よもぎを混ぜた粘りのある生地に餡を包んで、油を敷いた鉄板で焼きます。
この時、生地の表面に三本指で跡をつけて模様を作ります。
へらでひっくり返し両面を焼いたら完成です。
注文に合わせて焼き足していくそうです。



以上が今回の取材で分かったことです。
今取材ではひとつの「静岡きんつば」誕生物語を知ることができました。詳しくは『きんつば豆知識』ですが、新しいお菓子はいろんな場所で同時多発的に発明されると言うことでしょうか。べったら焼きはおろか、私の知る駄菓子屋には鉄板がなかったので、驚きが多かったです。
それと、完全に私事ですがよもぎからあくが出ることを知って驚きました。よもぎは「静岡きんつば」の第一特徴ですから、こちらも詳しく見ていきたいですね。草餅のようにきんつばに入れてみたのではというお話もありましたが、それではなぜ全国的になっていないのでしょうか。
今回と前回の取材から、「静岡きんつば」は「粘りのある固い生地に餡を包んで鉄板で焼くお菓子」であるという共通点があるようです。「きんつば」と違って柔らかい餡の「静岡きんつば」が立体的な形を保てるのは生地によるものだったんですね。それとも、これは「ぎんつば」の名残でしょうか、調べることがいっぱいです。


それでは最後に、今回の取材にご協力くださった方々に感謝申し上げます。
こちらのお店の方も、快く取材に応じてくださり誠にありがとうございました。
引き続き頑張ります!



2017年02月20日 Posted byチーム静大人言 at 00:22 │Comments(0)

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